遺言執行者の受任通知

query_builder 2021/04/30
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埼玉県三郷市で、相続・家族信託・おひとり様の終活支援・障がい者の親なきあと支援をしている、ゆうき司法書士事務所の中里です。


遺言を書いた場合、その遺言を実現してくれる人をあらかじめ選任しておくと便利です。遺産をもらえる人を選任してもかまいません。

当事務所では、おひとり様の終活支援をしており、遺言を作成した際に私に遺言執行者を指定してもらっております。そして、残った遺産は、お世話になって施設や社会福祉協議会などに寄附することが多いです。民法の改正までは、公正証書で遺言を作成した場合、相続人を調査することなく遺言を執行することができましたので、容易に施設や社会福祉協議会などに寄附できました。


しかし、この度民法が改正になり、以下の条文が新設されました。


民法1007条 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知しなければならない。


そして、この通知をしなければならない相続人の範囲は『遺留分を有しない相続人に対しても当然に通知する義務がある』らしいのです。遺留分を有しない相続人とは簡単にいえば、本人の兄弟姉妹や甥や姪です。


先日のこと。


『私(90歳を超えている)は、子供もいなく主人も亡くしました。兄弟姉妹は10人いたのですが、私は末っ子のためもう全員兄弟姉妹は死んでしまったんです。甥や姪はいると思いますが、もう何十年もあっていません』


これは困った。兄弟姉妹が全員おらず相続人は甥や姪ではないか。何人いるんだ?相続人を調査するのに半年位かかるぞ。とてもじゃないが相続人の調査なんかしてられない。


どうする?どうせ、甥や姪は遺言があれば遺産を1円も相続できないのだから通知は無視するか?通知を無視すると損害賠償責任を負うらしい。悩ましい問題だ。


民法1007条は次のように改正して欲しいところ。

→ 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく遺言の内容を遺留分を有する相続人につうちしなければならない。

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ゆうき司法書士事務所

住所:埼玉県三郷市茂田井716-1

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