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お客様の多様なニーズに最適な法的サポートをお届けするために、お客様より頂戴するご質問やご不明な点についてお答えしております。司法書士の専門知識を活かしながら、法的手続きや契約書の作成、相続手続き、雇用問題、ビジネス法務、不動産取引など、日常生活やビジネスに関連する様々な分野にわたる情報をわかりやすくご案内しており、ご参考にしていただけるよう工夫しております。
将来的に相続相談をお考えの方にご参考にしていただける内容です
主に相続・遺言・家族信託・成年後見・任意後見といった相続関連の項目について触れており、質問・回答形式で要点を分かりやすくまとめております。
よくある質問
民法では誰が遺産を相続するのかを定めています。
故人に配偶者がいる場合は、配偶者は必ず相続人となります。
(なお、内縁の妻や離婚した妻など戸籍上で配偶者となっていない場合は、相続人とはなりません)
配偶者以外の相続人には順位が決められており、先の順位の者がいる場合には下の順位の者は相続人にはなりません。
・第1順位の相続人…子供(養子も含む)
故人に子供がいる場合は子供が相続人になります。
子供が既に亡くなっており、孫がいる場合はその孫が子供の代わりに相続人となります、(これを代襲相続という)
・第2順位の相続人…親や祖父母など
故人に子供や孫がいない場合は、親が相続人になります。
親が既に亡くなっており、祖父母がいる場合は祖父母が親の代わりに相続人になります。
・第3順位の相続人…兄弟姉妹
故人に『子供・孫』も『親・祖父母』もいない場合は、兄弟姉妹が相続人となります。
誰が相続人なのかを確定させるためには、亡くなった方の「戸籍謄本」「除籍謄本」「改正原戸籍」等を出生から死亡まですべて取得することが必要です。
戸籍は、本籍地のある市区町村役場で取得します。本籍地が遠方にある場合などは郵送による申請も可能です。
法定相続分とは、遺産の分け方の目安を民法が定めたもの。
そのため、必ずしも法定相続分に従って遺産を分けなくてはいけないというものではありません。
相続人が全員納得すれば、遺産の取り分は自由に定めることができます。
当然、相続人が一人しかいない場合はその者が全て遺産を相続します。
・子と配偶者の場合は、各2分の1
子と配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1となります。
代襲相続(孫)の場合、その相続分はその親が受けるべきであったものと同じ相続分となる。
・配偶者と直系尊属(親や祖父母)は、配偶者3分の2、直系尊属3分の1
配偶者及び直系尊属(故人の親や祖父母)が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2とし、 直系尊属(故人の親や祖父母)の相続分は3分の1となる。
・配偶者と兄弟姉妹は、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の2
配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は4分の1となる。
発展
故人Aと妻Bとの間に子供がおらず、直系尊属(親や祖父母)も既に亡くなっている場合において、 父及び母を同じくする弟Cと、父のみを同じくする妹Dがいる場合、それぞれの相続割合はどうなるか?
⇨兄弟姉妹が数人ある時は、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となる。
したがって、妻Bが4分の3、弟Cが6分の1、妹Dが12分の1(弟Cの2分の1)となる。
故人名義の預貯金は、金融機関が故人の死亡を確認した時から預貯金の取扱いが凍結され、相続人であっても預貯金の引出しができなくなります。(バレていなければ、ATMなら引き出せる。←本当はダメだけど…)
凍結された預貯金の払い戻しを受けるためには、まず、遺産分割協議書を作成し、戸籍等を持って金融機関の窓口で手続きをします。
相続税は、全員に課されるわけではありません。
一定の額の財産を個人が持っていた場合のみ、税務署に申告と納付が必要です。
(割合で言うと約8%程度の方に課税されています)
では、遺産がいくらあれば、相続税が課せられるのか?
相続税は基礎控除額(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超える財産があるときに課税される。
さらに、特例を使用して基礎控除以下になる場合も不要!
つまり、最低でも相続財産が3,600万円ないと、相続税は課せられないことになります。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
※養子がいる場合の法定相続人の数え方
①実子がいる場合 普通養子は1人まで算入できる。
②実子がいない場合 普通養子は2人まで算入できる。
相続人が増えれば、必然的に相続税の納付額が減っていきます。
よって、相続税の対策の一つとして養子縁組をするのも対策の一つです。
・財産の評価方法は?
各相続財産の評価方法をおおまかに記載しておきます。
(注意:実際の評価方法は、かなり厳密に計算します。税理士に相談しましょう。また、いろいろな特例があり、その特例を使用することにより、相続税が課税されない場合(課税されなくても、申告が必要な場合もあり)があります。
したがって、おおまかな計算をして、基礎控除額を超える場合や基礎控除額付近の場合は、必ず税理士に相談しましょう。)
① 現金や預金の評価額は、故人が死亡した時の残高がそのまま評価額となる。
② 土地の評価額は、『路線価方式』や『倍率方式』で評価する。
路線価や倍率地域の価額は、国税庁のホームページで調べてください。
路線価は時価の80%位で設定されています。
例えば、路線価が10万円の道路に面している土地100㎡の場合は、1,000万円が土地の評価額となります。
(実際には、補正を行って正式な土地の評価額を算出します)
なお、アパート等の場合の評価方法はこれと異なります。
また、故人の居住の用に供されていた宅地等は特例があったりして評価額がかなり低くなりますので、注意が必要です。
③ 建物の評価額は、固定資産税評価額で評価する。
毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に固定資産税表額が記載してあります。
その額が評価がくなので、評価方法としては簡単です。(アパート等は異なり、もう少し安くなる)
④ 上場株式の評価は、相続発生日時点の終値が原則
⑤ その他
生命保険金や死亡退職金は非課税枠がある。
債務や葬式費用は遺産総額から控除される。
墓地や仏壇など、そもそも相続税がかからない非課税財産もある。
相続税の計算はかなり複雑となりますが、現実的には8%程度の方にしか課税されていませんが、 ご心配な方は、相続税の生前対策サービスを行っている税理士さんもいらっしゃいますので、 ご利用してみてはいかがでしょうか?
なお、相続税の申告は相続の開始があったことを知った時から10か月以内に税務署に申告する必要があります。
遺産分割とは、相続人が複数人いる場合に全員で遺産の分け方を決める話し合いのことです。
この話し合いがまとまらなければ、故人の遺産はそれぞれの相続人に法定相続分で帰属している状態です。
このままの場合、不動産の名義が共有状態となり、有効活用がしにくかったり、預金の解約など銀行の手続きができないことがあります。
そして、遺産分割協議は遺言で遺産分割を禁止していた場合を除き、いつでも、その協議で遺産を分割することができるので、遺産分割協議を行う時期に制限はありません。 しかし、遺産分割協議をしないうちに第2の相続が発生してしまい、 遺産分割協議の当事者が増えていき遺産分割協議がまとまりにくい事態も増えてきています
(その他に、相続人のうちの1人が認知症等になり遺産分割協議ができない事態も増えています)
そのため、遺産分割協議はなるべく早いうちに行うべきです。
一部の財産について分割する旨の合意も可能です。
しかし、いつまでも相続財産を共有財産として放置しておいても、あまり好ましくありませんので、なるべく早く全ての財産について権利関係を確定させるべきと思われます。
Ⓠ故人の全ての財産を事細かく記載して遺産分割する必要がありますか?
Ⓐ全ての遺産につき事細かく記載することは不可能なため、主たる財産(不動産、預金、株など)の帰属先を決めておけば十分と思われます。
一部の漏れがあることを想定して以下のように記載しておくと有効です。
『上記以外の財産及び今後新たな財産が発見された場合には、相続人〇〇が取得する』
可能ですが、できるだけ不動産を共有名義で相続することは避けるべきです。
共有名義の不動産は、共有者全員の意思が合致しなければ売却等できないことから、その後相続人間の関係が悪化して話し合いがうまくいかないことも少なくありません。
また、共有者の1人に相続が発生してしまうと、さらに合意の当事者が増えていき話をまとめるのが困難になります。
相続人が1人の場合は不要ですが、相続人が複数いる場合には原則として必要となります。
この場合において、遺産分割協議は相続人の全員で行う必要があり、相続人のうち1人でも欠けた場合は、その遺産分割協議は無効となります。
Ⓠ亡き父の遺産分割協議が成立した後に、父に隠し子がいたことが分かりました。
この場合、既に成立した遺産分割協議は無効になりますか?
Ⓐたとえ、血縁関係があったとしても父親から認知がされていない場合は相続人にならないので遺産分割協議はそのまま有効です。
認知がされていた場合は無効となり再度隠し子を含めて遺産分割協議をしなければなりません。
なお、相続開始後に認知された子(認知の訴えを起こされた場合に生じる)は、相続人になりますが、価格のみによる支払請求権を有するにとどまり、再分割の請求はできません。
遺産分割協議は相続人の全員で行うことを要しますが、必ずしも一堂に会する必要はありません。
遺産分割の内容が確定しており、その内容が各相続人に提示され、相続人全員の合意が成立するものであれば、一部の相続人が作成した遺産分割協議書を各別に承認したり、 持ち回りで承認しても有効な遺産分割協議となります。
決まった形式はありませんが、作成にあたっていかに注意点を記載しておきます。
遺産分割協議書を作成する場合の注意点
① 必ず、相続人全員で協議を行い(全員が一堂に会して協議を行う必要はない)、全員が承諾していること
② 相続人全員が遺産分割協議書に署名・押印(実印)すること
③ 相続財産に不動産がある場合、その住所ではなく登記簿に記載されている表記にすること
④ 遺産分割協議書が複数枚になる場合は、相続人全員が実印で割印をすること
⑤ 相続人全員の印鑑証明書を添付すること。
遺産分割協議が成立した後、その協議ない内容と異なる分割方法が書かれた遺言書が発見された場合、 既に成立した遺産分割協議は無効となります。
したがって、遺言書を書いた場合は保管場所を誰かに伝えておいたり、公正証書遺言の場合はその謄本を誰かに預けておくことが望ましいです。
Ⓠ遺言書と異なる遺産分割協議はできるのか?
Ⓐ全員(相続人全員および相続人以外の者が受遺者である場合はその者も含む)が同意をすれば可能です。
(遺言執行者がいる場合は、その者の同意も必要)
未成年者は、判断能力が備わっていないとされているため、不利な内容の契約を結んでしまわないように民法で保護されています。
そのため、相続人の中に未成年者がいる場合、未成年である子のために特別代理人の選任を裁判所に請求しなければなりません。
例えば、父親が亡くなり、相続人が妻と15歳の子供となった場合、母親の相続分が増えると未成年者の相続分が減るように、 同じ相続財産を巡って利害が一致しない関係となります。
(利益相反関係という。なお、例え子供が母親より多くの遺産を受継ぐ場合でも利益相反関係となります)
こういった場合、母親は子供の代理となることができないので、このままでは遺産分割協議はできません。
そこで、家庭裁判所に『特別代理人』を選任してもらい、その者と遺産分割協議をすることになります。
未成年の子がいるにもかかわらず、特別代理人の選任を行わないままされた遺産分割協議は無効です。
相続において故人は高齢な場合がほとんどですので、故人だけでなく相続人もご高齢であることがあるため、最近多い相談となっています。
認知症の方は意思能力が欠如している可能性が高いため、現状では遺産分割協議はできません。
ただし、認知症の方のために『成年後見制度』を利用すれば遺産分割協議ができます。
が、あまり良い制度とは思われませんので、注意が必要です。
また、成年後見制度を利用しても結局は自由に遺産分割できません。
(成年後見制度は本人の財産を守る制度のため、家庭裁判所の監視下に置かれることとなり、法定相続分以下となるような協議はできないこととなっております)
相続人の一部が行方不明であっても、その者を遺産分割協議から除外することはできません。
この場合、家庭裁判所に『不在者の財産管理人』を選任してもらい、さらに家庭裁判所の許可を得れば、遺産分割協議を行うことができます。
なお、上記からもわかるとおり、家庭裁判所の監視下に入ることになるので、自由な遺産分割はできないと思われます。
具体的に言うと、法定相続分以上の財産を残すような遺産分割協議でないと家庭裁判所の許可がおりないと思われます。
遺産分割協議が整わない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立て、裁判所の力を借りて協議を行うことになります。
家庭裁判所に「遺産分割協議調停申立書」を提出して調停を行います。
(まずは、話し合いから始めます。いきなり裁判にはなりません)
調停は1カ月から2カ月の間に1回、概ね2時間程度を問題が解決するまで何度か行います。
問題が解決しないときは(調停が不成立の場合)は、審判手続きが開始され裁判所が遺産分割の方法を決めてくれる
家庭裁判所における遺産分割調停は、次の通り段階を追って進められます。
① 相続人を確認する
戸籍の記載が異なっているとか、養子縁組や結婚が無効といったことを主張する場合には、別途調停を行います。
② 遺言の有無を確認する
遺産は、遺言がある場合には原則としてその遺言書の内容に従って分割されます。
なお、遺言の無効を争う場合には、別途民事訴訟においてその有効性を確定させます。
③ 遺産の範囲を確定する
どのような遺産があるのかを調査します。
遺産の所有権に争いがある場合(故人の遺産なのか、他の者の遺産なのか)民事訴訟で所有者を確定します。
④ 遺産の価格を確定する
遺産の評価に争いがある場合(特に、不動産や非公開株式)、鑑定手続きを行います。
鑑定費用は相続分の割合で負担することになります。
⑤ 各相続人の取得額を確定します
寄与分や特別受益が認められる場合、取得額が修正されます。
⑥ 遺産の分割方法を確定する
現物分割(文字どおり、遺産を分けること。建物だと無理ですね)、
代償分割(法定相続分以上の遺産を取得した相続人が他の相続人に対して代償として金銭を支払う方法)、
換価分割(遺産を金銭に替えて分ける方法)の分割方法を確定する。
⑦ 合意できない場合(1人でも反対すると調停不成立となる)は、自動的に審判手続きに移行する。
本人、配偶者、四親等内の親族です。多忙であったり、自分で申立てをするのが不安な場合は、弁護士等に相談してください。
病気や事故などにより判断能力が不十分になった人(この手続では、「本人」と呼びます。)のために、家庭裁判所が援助者を選び、本人を保護する制度です。
本人の判断能力の程度により、「後見」、「保佐」、「補助」の3種類に分かれています。