Q&A

相続関連の基本情報をまとめ不動産登記などについて解説

将来的に相続相談をお考えの方にご参考にしていただける内容です

地元で多くの相続関連の相談をご依頼いただく中、埼玉近隣のお客様から寄せられている様々な質問の中から基本的な内容をピックアップして、整理しております。遺産管理・不動産登記などに関する内容に触れておりますので、一度ご覧いただくと、相続手続きの補足情報としてご参照いただけます。

主に相続・遺言・家族信託・成年後見・任意後見といった相続関連の項目について触れており、質問・回答形式で要点を分かりやすくまとめております。

よくある質問

  • 家族信託は投資のことですか?
    家族信託は、投資(信託)とは全く関係ありません。
    投資信託とは証券会社等に自身の金銭を託します。
    そして証券会社(受託者)はその金銭を運用して利益を出し、託した方(受益者)に利益を還元します。
    投資信託の目的は利益を出すことです。
    一方、家族信託は不動産や金銭などを信用できる家族に託します。
    託された人(受託者)は託された財産をしっかり管理して、託した人等(受益者)の生活をサポートします。
    家族信託の目的は自分や家族を守ることです。

    受託者 受益者 目的
    投資信託 信託会社 託した人 利益を出すこと
    家族信託 家族 自由に決定 家族や自分を守ること
  • 信託するために本人の判断能力はどこまで必要ですか?
    物忘れが頻出していることや、軽い認知症の診断がされたからといって、
    判断能力(物事を理解する力)がないとまでは言い切れません。
    家族信託の「目的」・「効果」・「託す財産」・「託された人の権限」等について理解していただければ、
    信託契約書の条文の理解が多少曖昧でも信託契約は締結することができると思われます。
  • 家族信託は公正証書で作成しなければならないのですか?
    家族信託は公正証書で作成しなくても有効です。
    が、通常は確実性や証明性を高めるために公正証書で作成するほうが望ましいでしょう。
    公正証書で作成する場合は、公証人の面前で契約内容や意思を明確にするため、後日信託契約の効力を否定することが困難になります。


    公正証書 私文書
    メリット ・本人の意思を公証人が確認するため後日の紛争になりにくい
    ・契約書を紛失しても再発行が可能
    ・金融機関等への説明がし易い
    ・コストがかからない
    デメリット ・手数料が発生する
    ・原則として、公証役場に平日の日中に行く必要がある。
    ・後日、紛争の可能性がある
    (判断能力の欠如や勝手に作成された等)
    ・金融機関への説明が困難
  • 信託契約をするのに対して、家族の承諾は必要ですか?
    家族信託は、任せる人(委託者)と任される人(受託者)の2者がいれば契約はできます。
    したがって、例えば、父親・母親・長男・長女の4者いる状態で、任せる人(例:父親)と任される人(例:長男)の2者間の契約で可能です。
    しかし、財産の処分に関する権限が任される人(受託者)にあるため、他の家族に対して不公平感を生み出し、
    これをキッカケに家族間に溝ができてしまうことも考えられます。
    そこで、家族信託は、家族全員が話し合ってすることが理想です。
    老後生活の希望や将来誰が介護等を担うべきか、さらに資産を受継ぐ子供側の要望を表明して家族会議を行うことが重要です。
    将来の紛争を回避しましょう。
  • 任せた人(受託者)が悪いことをしたら?
    任せた人(受託者)が金銭を使い込んだり、勝手に不動産を売却したりした場合は、契約違反や横領罪に問われます。
    しかし、家族間の事なので、通常は大げさにしないでしょう。
    したがって、家族信託は、信頼できる家族がいなければ、そもそも成り立ちません。
    「信頼してはいるが、ちょっと不安」な場合は、他の家族を受益者代理人(受託者を監視しつつ、受益者本人に代わって判断をする者)とし、
    家族で相談して決める仕組みを作ることもできるます。
    また、信頼できる親戚や、弁護士・司法書士などの専門家に信託監督人になってもら
  • 信託財産はどのように管理するのですか?
    任された人(受託者)には「分別管理義務」があるため、受託者の固有財産と託された信託財産とは、分けて管理する必要があります。

    ● 金銭 ●
    信託口の口座を開いて、その口座で信託した金銭を保管するのが理想です。
    しかし、信託口の口座は金融機関によっては開設に応じてくれない場合が多いので、
    この場合には受託者が通常の預貯金の口座を開設して、そこで保管することになります。

    ● 不動産 ●
    不動産に関しては、不動産登記という手続きを経て登記簿に記載されます。
    名義人は任された人に移りますが、信託財産である旨の表記がされます。
    なお、農地は原則として信託できません。
  • 家族信託すると税金はどのようになりますか?
    注意:税金については、細かい規定や特例が数多くありますので、具体的な内容については、税理士等の専門家に確認しましょう。
       当事務所においても税理士に確認の上、信託契約書を作成していきます。

    概要としては、以下の感じです。
    ポイント…受益権を持っている人を所有者とみなして課税されます。

    ① 贈与税
     かかりません。

    ② 相続税
     信託設定時にはかかりません。
     受益者が相続により変更した場合に課税されます。

    ③ 譲渡所得税
     信託設定時にはかかりません。
     受益権を売却した場合(通常は、譲渡禁止条項有)や信託した不動産自体を売却した場合には発生します。

    ④ 所得税
     アパート等を信託した場合に、その賃料収入に課税されるものです。
     これは受益者に課税されますので、これまでと何も変わりません。

    ⑤ 不動産取得税
     通知は来ますが、信託であることを説明すれば課税されません。 

    ⑥ 固定資産税
     これだけは注意。受託者(任せた者)に届きます。

    ⑦ その他の特例制度
    ・居住用不動産の夫婦間贈与
    ・相続時精算課税制度
    ・相続税における小規模宅地の特例
    ・居住用不動産を売却した場合の3000万円特別控除
    これらは、そのまま適用可能です。

    つまり、税金面では現況とほとんど変更はないです(固定資産税に変更がある)
  • デメリットとしてあげられる損益通算禁止とはなんですか?
    所得税の申告を行う際に、信託した事業とその他の個人事業とで、損益の合算ができなくなることです。
    たとえば、個人で飲食業とアパートを所有していた場合、確定申告をする際に、
    飲食店経営の損益とアパート経営の損益を合算して所得を計算して確定申告をしますが、
    この時に飲食店経営が赤字でアパート経営が黒字の場合、飲食業の損失をアパートの賃料の黒字で補填するので、
    全体としては所得が低くなり、その結果所得税が低くなります。
    しかし、アパートを信託した場合には損益通算ができないため、所得税が高くなる場合があります。
    また、不動産を信託財産とする信託契約が複数ある場合(例:埼玉県のアパートは長男に信託、千葉県のアパートは二男に信託した)、
    収支計算は信託契約ごとにされるため、契約をまたいだ損益通算はできません。
  • 信託すると、毎年、税務署に書類を提出しなければならないのですか?
    家族信託を行った場合は、毎年1月末までに前年の信託財産について、
    税務署に対して「信託計算書」および「信託計算書合計表」を提出する必要があります。
    ただし、信託財産にかかる収益の額の合計額が年間3万円未満の場合(収益を生まない自宅や現金等を信託財産とした場合)は、
    提出義務がありません。
  • 受託者が先に死亡したり、認知症になったらどうなりますか?
    通常は、信託契約の中で後任の受託者を定めておくので、受託者の判断能力が無くなったり、
    死亡したりしても、新しい受託者により財産の管理は継続されます。
    なお、契約の中で後任の受託者を決めていない場合、一般的には受益者が後任を決めます。
    また、後任を決めないまま1年が経過すると、強制的に信託契約は終了します。
  • 生前贈与と家族信託では、何が違うのですか?
    贈与税の特例として『相続時精算課税制度』を使用して2500万円までの不動産なら家族に無税で渡すことができます。

    相続時精算課税制度とは、60歳以上の親または祖父母から20歳以上の推定相続人である子または孫に対し財産を贈与した場合に
    2500万円までは、贈与税が課税されないという特例です。
    ただし、①渡した者に相続が発生した場合、相続財産に合算して相続税額が計算されます(したがって、原則として相続税の節税対策にはなりません)
    ②税務署への申告が必要 ③以後、暦年課税(年に110万円までなら贈与税がかからない制度)が使用できない。という点に注意。

    この『相続時精算課税制度』を利用すると、比較的定額で家族信託の目的の一つである「認知症等による財産凍結防止」に使えそうです。
    しかし、贈与した者がその不動産に関して無権利者になってしまう点に注意が必要です。
    相関図

    母が長男に相続時精算課税制度を使用して長男に贈与したが、長男が先に死亡してしまうという事例です。
    この場合自宅は、長男の妻と孫に所有権が移り、母はこの自宅に関しては無権利者になってしまいます。
    ちょっと嫌な感じになりませんか?(妻や孫から明け渡しの要求される可能性があります)
    家族信託の場合は所有権は移転しませんので、長男が不審な動きをしている等の場合には、
    信託契約を終了させることにより取り戻すことができます。

地元で相続関連の手続き代行の実績を積む中、案件をご依頼いただくお客様一人ひとりのご意向に添える、気配り・心配りの行き届いたサービス姿勢をモットーとしてまいりました。今後もそうしたサービス姿勢を礎として、お客様の相続のご相談の対応に努めてまいります。これまで多くの相続案件を承り、相続・遺言・家族信託・成年後見・任意後見といった項目に対して様々な質問が寄せられておりますので、主な内容をまとめて分かりやすく整理しております。

質問・回答形式で要点をまとめておりますので、補足情報としてもご参照いただけます。ここに挙げた内容は基本的なトピックなので、今後、相続案件をご依頼いただく際にご参考にしていただける内容となっております。またここに挙げた内容について更に掘り下げて確認したい事項がございましたら、スタッフまでご連絡いただければ丁寧にご説明いたします。