認知症対策としての家族信託

認知症等になったら… 家族が困ります。 元気なうちに対策をしておきましょう。

認知症等になって判断能力を失ってしまったら?

認知症になったら、自宅を売って施設に入れば良いと思っている。

認知症になったら、定期預金を解約して施設に入ればよいと思っている。



近年の高齢化社会において、認知症にかかってしまう方が増えております。

・ 認知症等になったら、自分の家を売ることが非常に困難になります。
・ 認知症等になったら、定期預金の解約が非常に困難になります。

結局、子供たちに多大な迷惑をかけることになってしまいます。

知っている者が正しく備えることができて、知らなかったものが手遅れになるという悲劇をなくすために…

判断能力が無いと、契約行為ができなくなります。


判断能力が無くなった人に代わり家族が契約行為(不動産の売却や定期預金の解約・引出し)をしようとすると…

『後見人』を付けないと契約できないと言われる。

主にどんな時に『後見人』を付けろと言われるのか?(後見人を裁判所に申立てる理由)
① 預貯金(株式)の引出や解約
② 身上監護(介護施設への入所契約、入院契約のこと。介護や生活支援のことではない)
③ 介護保険契約
④ 不動産の処分
⑤ 相続手続
⑥ 保険金受取
⑦ 訴訟手続 

後見制度は、本人のための制度なのか?

気軽に利用できない?

『こんな制度なら利用しなかった』という声も!


後見制度(法定後見)とは、判断能力が不十分な状況な者(事理を弁識する能力が欠ける者)に対して、その者の代理人として『後見人』という者を家庭裁判所が選任する。後見人選任後は、本人に代わり、財産管理や契約等を行う。
そして、本人の財産が500万円以上あると、弁護士や司法書士等の縁のない者が『後見人』に選任される傾向がある。

国が頑張って作った制度です。役所・士業・金融機関等に相談すると、後見制度の利用を誘導してきます。

こんな制度だとは知らなかった という後悔の声が多いのが現状です。

デメリットの多い制度ですので、デメリットを理解した上で利用するか否かを検討しましょう。
法定後見制度のデメリット
① 親族が後見人になれないことがある。

後見人選任の申立をするときに親族を候補者として申立することができるが、親族後見人による横領が頻発し、家庭裁判所の監督責任を問われたことから、本人の財産が多い場合(概ね500万円以上)専門職である弁護士や司法書士等が選任される可能性がある。気に入らないても申立を取りやめることはできない。
なかには、社会福祉士さん等が選任され、当たりのことがあるが…



② 親族以外の後見人が選任された場合、毎月報酬を支払わなければならない。

報酬の額は、本人の財産額に比例して支払われます。

● 報酬の具体例
例えば、本人の預貯金口座に5,000万円あった場合
→ 年72万円の報酬 10年間で約720万円が報酬として消えていく。
● 付加報酬とは?
施設に入るために自宅不動産を後見人が売却した場合、この売却業務は特別業務にあたり『付加報酬』という報酬が上乗せされる。
自宅売却の結果、預貯金が増えればその分報酬も増える。
● 後見人の職務とは?
(1)本人の通帳を預かること および 毎月の生活費を渡すこと。
(2)契約行為(施設への入所契約、相続手続きなど)
※ たったのこれだけ。介護やお買い物の手伝いなどの生活支援はやらない。


③ 後見人には、親族よりも強力な法的権限が与えられる。

本人の預貯金などの資産は全て後見人が管理します。家族が本人のために預金を使用したいときは、その都度後見人に頭を下げて金銭をもらうことになる。親族といえども後見人の関与なしには、本人の預金を1円たりとも使えない。
また、『本人の財産を守る』=『本人の財産を減らさない』ことに主眼が置かれるため、旅行や優良な施設への入所などは、贅沢とか無駄との理由で支出を拒否されることもある。(本当の理由は裁判所への報告が面倒だから)
施設も安いところへ移動されることも!

※中には理解のある後見人もいるが、裁判所から選任された後見人は、自分が担当することになった本人の生き方、趣味嗜好などについて何も知らないし、興味も持っていない。興味はあるのはいくらの財産があるかや報酬はいくらもらえるか。


④ 一度制度を利用したら、途中で止められない。

致命的な問題です。いったん制度を利用すると途中でやめることができません。
はずれの後見人が担当になったら、最悪です。


⑤ 後見制度を利用しても、目的が達成できないこともある。

(具体例)相続手続きのために利用してみたが…
相続手続である「遺産分割協議」のために、後見制度を利用しても、後見人には法定相続分を死守することが義務付けられている。
例えば、不動産の所有者が父である、父・母・子供2人の4人家族において、父が亡くなった場合、遺産分割協議をして自由に名義を変更することができるが、母が認知症になり後見人がつくと、母の法定相続分2分の1を死守するため、不動産の名義が共有名義になる。(共有名義になると不動産の管理や売却する場合、手続きが煩雑)
若しくは、家の名義を子供にする代わりに現金をよこすように言われる。

(具体例)介護施設の入所資金を工面するため、自宅売却を目的として利用してみたが…
自宅売却のために後見制度を利用する場合、原則として『家庭裁判所の許可』を要することになります。しかし、他に預貯金などの流動資産があれば、そちらを先に使用するように言われ許可が下りずらい。その間に空き家となった自宅は劣化がはげしくなり、資産価値が大幅に下落する。
また、許可をもらう場合、『買主』・『売却価格』等を裁判所に申請する必要があり、このような面倒な手続きを踏んでまで買う一般の方は皆無で、ほとんどが不動産業者による買取となり、ビックリしたような低価格で取引されているのが現状です。


★ 法定後見制度の利用を検討すべき場合 ★

(A) 頼れる人がいない場合。

頼れる家族等がいない場合は、法定後見制度を利用するしかありません。
なお、当事務所では『おひとり様の終活支援』を提供しておりますので、是非、検討してみてください。

(B) 家族の中に、財産を狙っている人がいる。家族間の仲が悪い。
本人の財産を横領したり、家族間の仲が悪い場合は、法定後見制度を利用して、間に入ってもらう方が安心。

(C) 見境なく高額な商品を購入してしまう場合。
法定後見を受けている(登記がされる)という事実だけで、日用品の購入以外の契約は全て取り消すことができるので便利。

後見制度を利用しない対策をしておきましょう。

認知症になってからでは遅い。元気なうちに対策を!



これまで見てきたように、後見制度は人をたすけるどころか逆に人を苦しめるじたいとなる可能性があり、おススメできません。

本人が認知症になってから悩んでも手遅れです!

元気なうちに対策をしておきましょう。


※ 現状は、認知症になってからの相談が非常に多く、残念です。

※ 後見制度のデメリットを説明せずに、後見制度の利用を進めてくる者がいます。このような場合は、即刻相談を打ち切りましょう。
家族信託を利用して後見制度の利用を回避しよう!

家族内の問題は、家族間で解決しよう。






空き家対策

空き家問題を解消!家族信託を利用した売却と収益化

親が高齢になってくると頭をよぎる「空き家問題」。
老化や認知症などによって、ご家族のそばに引っ越す、または高齢者施設に移るなど、実家に人が住まなくなると空き家が生まれ、その管理に頭を悩ませることになります。
「不動産や預貯金などの財産は、認知症にかかると凍結されます。一度凍結された財産は、自由に動かすことができません。しかし、認知症に掛かる前に家族信託を結んでおくことで、当人の財産の管理・処分を息子などに託すことができます。結果、『不動産の処分ができない』『親の口座からお金を引き出すことができない』といった、凍結後の問題に悩まされることなく、親の財産を家族内で有意義に利用することができるのです」

ご家庭に障害者がいる方

財産を残すことができます!

障がいがあって自分では財産管理ができない子どもがいる場合、自分たち両親が死んだ後にひとりで生活していけるのかという不安もあるでしょう。そこで、夫婦が委託者となり、信頼できる他の家族を受託者にしておくことで、将来障がいを持ったお子さんが受益者となるような信託を組むことが考えられます。

よくある質問

  • 生前贈与と家族信託では、何が違うのですか?
    贈与税の特例として『相続時精算課税制度』を使用して2500万円までの不動産なら家族に無税で渡すことができます。

    相続時精算課税制度とは、60歳以上の親または祖父母から20歳以上の推定相続人である子または孫に対し財産を贈与した場合に
    2500万円までは、贈与税が課税されないという特例です。
    ただし、①渡した者に相続が発生した場合、相続財産に合算して相続税額が計算されます(したがって、原則として相続税の節税対策にはなりません)
    ②税務署への申告が必要 ③以後、暦年課税(年に110万円までなら贈与税がかからない制度)が使用できない。という点に注意。

    この『相続時精算課税制度』を利用すると、比較的定額で家族信託の目的の一つである「認知症等による財産凍結防止」に使えそうです。
    しかし、贈与した者がその不動産に関して無権利者になってしまう点に注意が必要です。
    相関図

    母が長男に相続時精算課税制度を使用して長男に贈与したが、長男が先に死亡してしまうという事例です。
    この場合自宅は、長男の妻と孫に所有権が移り、母はこの自宅に関しては無権利者になってしまいます。
    ちょっと嫌な感じになりませんか?(妻や孫から明け渡しの要求される可能性があります)
    家族信託の場合は所有権は移転しませんので、長男が不審な動きをしている等の場合には、
    信託契約を終了させることにより取り戻すことができます。
  • 受託者が先に死亡したり、認知症になったらどうなりますか?
    通常は、信託契約の中で後任の受託者を定めておくので、受託者の判断能力が無くなったり、
    死亡したりしても、新しい受託者により財産の管理は継続されます。
    なお、契約の中で後任の受託者を決めていない場合、一般的には受益者が後任を決めます。
    また、後任を決めないまま1年が経過すると、強制的に信託契約は終了します。
  • 信託すると、毎年、税務署に書類を提出しなければならないのですか?
    家族信託を行った場合は、毎年1月末までに前年の信託財産について、
    税務署に対して「信託計算書」および「信託計算書合計表」を提出する必要があります。
    ただし、信託財産にかかる収益の額の合計額が年間3万円未満の場合(収益を生まない自宅や現金等を信託財産とした場合)は、
    提出義務がありません。
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